はじめに
頑張れば、何かがあるって、信じてる。nikkieです。
10/10のPyCon mini Hiroshimaで、海外PyConにオンライン登壇したこの夏の学びを共有しました。
LTの制限時間5分に収め切れなかった内容を補足としてアウトプットします。
目次
- はじめに
- 目次
- PyCon mini Hiroshimaとは
- LT: Stay home, but connect global Python users!
- なぜ海外PyConで登壇しようと思ったか
- 英語の不安を解消するための準備
- 英語でオンライン登壇して得たもの
- 海外のカンファレンスに参加して得たもの
- 終わりに
PyCon mini Hiroshimaとは
PyCon mini Hiroshima 2020は、“つながろう Python”がテーマです。
3時間にぎゅぎゅっと詰め込んだオンラインカンファレンスとして開催されました。
その歴史は古く、2015年から開催されています(2017年を除く)。
この夏オンライン登壇して各地のPython使いとつながったというLTネタが浮かび、登壇しました。
LT: Stay home, but connect global Python users!
海外のPyConへの参加・登壇への挑戦で得られたことを共有しました。
対象者には、オンライン登壇する前の私のような方を想定しています。
- Pythonについて日本語で登壇した経験がある(Python中級者〜熟練者)
- 海外PyConには興味もある
- ただし英語が不安(話す・聞くに自信がない)
- PythonやPythonパッケージのドキュメントは普段から英語でも読んでいる1
伝えたかったことは次の2点です。
- 英語での登壇に不安がありましたが、読む・書く・聞く・話すの「読む」を重視し、ツールを使って原稿を用意するという作戦で、不安を突破しました。
- 英語でオンライン登壇しての学びは、登壇して何かを伝えるのに重要なのは「熱」ということです。好きな技術への想いは、英語の準備がまだ十分にできていないと尻込みせずに、自身が熱を失わないうちに、伝えるのがオススメです。
LTには4つのことを詰め込みました。
- なぜ海外PyConで登壇しようと思ったか
- 英語の不安を解消するための準備
- 英語でオンライン登壇して得たもの
- 海外のカンファレンスに参加して得たもの
詰め込みきれなかった点を補足します。
なぜ海外PyConで登壇しようと思ったか
2020年は「US PyConにプロポーザルを通す」という"アホ"な目標を掲げています2。
US PyConは狭き門なので、これはなかなか困難な(実現させるのに発想を変える必要がありそうな)目標です。
一発勝負では分が悪いことは痛感していたので、何回も勝負してプロポーザルを磨くことにしました。
プロポーザルにフィードバックをもらう機会として、各地のPyConにプロポーザルを投稿しています(今年の3月〜5月のことです)。
英語の不安を解消するための準備
英語のドキュメントは(辞書を使いながら)読みますが、書く・聞く・話すには不安がある身です。
「書く」不安の解消
原稿を用意するには「書く」必要があります。
ここはツール(DeepL、Grammarly)の力を使い3、日本語を書き、英語は読んで整えるという方法で英語を直接書かずに取り組みました。
- 日本語で原稿を用意(文や段落単位)
- DeepLで翻訳
- 翻訳を読んで、単語を置き換えたり、語順を変えたり修正(訳がいまいちだったら1に戻る)
- DeepLの訳をまとめてGrammarlyに投入。文法ミスを直す
単語を調べるときは、macOSの辞書.app4が非常に便利です。
英和も和英も1つのアプリで使えて助かっています。
登壇中、別チャンネルで「5 min left」などタイムキープの英語音声が聞こえることがありました。
タイムキープが来ると知っていても私は結構驚くので、原稿があってよかったです。
突然の英語で頭が真っ白になりながらも、目の前の原稿読み上げに集中して、話し続けていました。
「話す」不安の解消
ジャパニーズイングリッシュでなまっている自覚はあります。
去年Singaporeに行った経験5から、なまった発音でも伝わると知っていたので、ジャパニーズイングリッシュを堂々と貫くことにしました6。
KopiやTehにO, C, Kosongなどをつけるんですね。
— nikkie (@ftnext) 2019年10月14日
次回試してみます!https://t.co/lpKr4xs1BV
今回は時間が割けずにやりませんでしたが、macOSのsay
コマンドで練習というアイデアもあります。
「聞く」不安
今回はほとんど対策しませんでした。
オンライン登壇ということでテキストチャットでの反応や質疑が多かったです。
また、聞き取れなくても「チャットでお願いします」でなんとかなるだろうと考えていました。
過去に海外PyConに行ったときはOtterというアプリを使いました7。
英語の「読み」の重要性
この夏の経験から、英語が読めることの重要性を痛感しました。
技術の進歩はめざましく、翻訳ツールを使えば、英語は一応書ける時代です。
ですが、英語が読めないとそのツールに使われてしまうと感じています。
逆に言えば「読め」さえすれば、私の例のように、「書く」「聞く」はツールを味方にできます。
「正確に読むための努力は今後もしていきたいな」と思っています8。
英語でオンライン登壇して得たもの
「不安のあった自分の英語でも届いた!」という感覚を得ました!
他の方の登壇と比べて質疑やリアクションが少ないかもしれません。
ですが、「反応いただけた方たちには届いたんだ!」と達成感を感じています。
では、届いた要因はなにかですが、「この技術について伝えたいことがある」「Pythonでこんなことをやっていることを伝えたい」という熱だと思っています。
「海外カンファレンスでの登壇に興味がある。でも、英語が十分に話せないから躊躇してしまう」という方には、
ぜひ自分の熱に任せて、ツールの力を借りてやってみることをオススメします。
さしずめ「英語を完璧に準備することを目指すより、まず登壇してみよう」9といったところでしょうか。
英語の間違いはコワくありません。
例えば、今回のLTのタイトルですが、「世界のPythonユーザとつながろう」だったら、「Connect with other Python users around the world」の方が正しそうです。
こういった誤りはこの夏何度も犯していると思います。
ただ結果的には伝えられたと思っているので、ちょっとした間違いは気にしないというスタンスでいいと思っています。
なお、「熱」ですが、偶然にもそーだいさんの直近のアウトプットと重なりました。
一番大事なことは情熱
そーだいなるキャリアを作った、そーだいなる登壇資料の作り方 - そーだいなるらくがき帳
海外のカンファレンスに参加して得たもの
海外PyConに参加して、2種類の新たなつながりを得ました。
- Pythonとのつながり
- 各地のコミュニティとのつながり
Pythonとのつながり
各地のPyConは、Pythonの本質的なトピックについてのトークが多かったという感想です。
PyCon JPは「Pythonでこんなことができる」というバラエティに富んでいるので、これは対照的でした。
例えばメモリ管理やPythonでオブジェクト指向といった話を聞いて、Pythonとのつながりが深まったと感じています。
Pythonとのつながりを深める機会を提供してくださった何人ものPython使いは、言ってみれば「ヨーダ」10のような存在です。
こういったPython使いとも(一方向ですが)つながれて、私のモチベーションは上がりました。
メルマガを購読するなど、インプットに加えています。
Best practices for production-ready Docker packaging — EuroPython 2020 Online · 23-26 July 2020
Generatorについて
Reuven M. Lerner's Profile | PyCon Africa 2020
各地のコミュニティとのつながり
特筆すべきは、私と似た取り組みをしているPython使いとも出会いました!
AlyさんはChicagoのPythonコミュニティ(ChiPy)の共同オーガナイザで、SlackBotを使ってChiPyを盛り上げています。
Aly Sivji's Profile | PyCon Africa 2020
ChiPyを知った私は、リポジトリをウォッチしたり、月例会に参加したりしています。
終わりに
PyCon mini HiroshimaのLTの補足をお届けしました。
海外に渡航が難しいStay homeな世の中ですが、海外PyConにオンライン参加したら素敵な出会いが待っていました。
登壇に挑戦するもよし、登壇せずに参加するもよしだと思います。
このLTと補足資料をきっかけにお一人でも海外PyConに興味を持ち参加していただけたら嬉しいです。
各地のPyConの発表はYouTubeにあるので、探してみるのもオススメですよ!
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PythonパッケージはGetting startedから進もうとすると日本語訳が減っていく感じがあります。PEP(Python Enhancement Proposals)も公式の日本語訳はないと思います。そんなわけでわからない語を辞書で引き、コードをガイドにしながら読んでいます↩
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Langsmithというツールを最近知りました。今後試すかもしれません ref: https://twitter.com/ttk_kuribayashi/status/1313419014891139072?s=20↩
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WEB+DB PRESS の名前付け特集で知って以来、辞書.appは愛用しています↩
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Event Report | PyCon Singapore 2019 Day1 #pyconsg - nikkie-ftnextの日記↩
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ジャパニーズイングリッシュでも気にしないと思えた要因には、Twitterで知ったエピソードがあります。C・ロナウド「なぜ笑うんだい?」日本人少年の拙いポルトガル語に笑いが漏れた会場でナイスガイな対応!この時の少年の現在が凄い・・・ | FUNDO↩
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こちらで知りました:第2回 2日目「1994年のPython」,日本から参加のポスターセッションとライトニングトーク:ヨーロッパのPythonコミュニティと交流できる3日間「EuroPython 2019」参加レポート|gihyo.jp … 技術評論社↩
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この夏読んだブログに耳が痛い助言があったのですが、そのとおりだなと思います。「英語がちゃんと読めるようになって始めて自分の専門的技術力を高めるスタート地点に立てるのです。」 ref: 社内勉強会で専門的技術力を高めるには - Yahoo! JAPAN Tech Blog↩
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「完璧を目指すより、まず終わらせろ」(Done is better than perfect)の言い回しを意識しました↩
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『SOFT SKILLS』にある言い回しです↩