nikkie-ftnextの日記

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週末読書ログ | ふりかえりをさがして

はじめに

梅雨ちゃんと呼んで🐸、nikkieです。

ふりかえり(retrospective)について、週末にインプットしました。
現時点のバックアップとしてアウトプットします。

目次

nikkieのふりかえり、これまで

ふりかえりの経験は3年半ほど。
XPを実践するユーザベースの開発チームに加わったのをきっかけに、イテレーションのふりかえりに参加したり、ファシリテータをしたりしています。
これまでは経験豊富なファシリテータのみようみまねでやってきました(『アジャイルレトロスペクティブズ』を最初にパッと読んだくらいです)。

やや前の記事ですが、開発チームのふりかえりの様子は以下のような記事があります!

初手はケント・ベックエクストリームプログラミング

ふりかえりについての記述をXPの提唱者 ケント・ベック氏の著書(第2版1)で探すと、原則2の中にありました。

5.7 ふりかえり(Reflection)より

フィードバックを最大化するには、XPチームのふりかえりを行動と組み合わせるべきである。(Kindle の位置No.795-796)

氏の言は非常に簡潔なので、他の本にあたって解像度を上げていきます。
ここでretrospectiveではなくreflectionという語が使われているのも面白いですね(retrospectiveはプラクティスを指す使われ方が多いからかな?)

ふりかえりといったらこの本!『アジャイルレトロスペクティブズ』

最初に読んだ本を改めて手に取ります。
5つのフェーズからなるふりかえりの構成が示されます(第1章)。

  1. 場を設定する
  2. データを収集する
    • データとは、事実と感情
  3. イデアを出す
  4. 何をすべきかを決定する
  5. レトロスペクティブを終了する

各フェーズのアクティビティについても豊富に紹介されていますね。

『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』

イテレーションのふりかえりについて扱われています。

初版(5.5 ふりかえり)

著者のJames Shoreさん流のふりかえりの構成が示されます3

  1. ノーム・カースの最優先条項4
  2. ブレインストーミング
  3. ミュートマッピング
    • 誰も話さずに関連する付箋を近くに置く(関連しない付箋は互いに離す)
  4. ふりかえり目標
    • チームをよりよくするため、チーム全体が次のイテレーションのあいだに努力する目標を決める
    • 具体には踏み込まず、大まかな方針のアイデアを出す

2版(英語)

ふりかえりの構成がちょっと更新されていました。
初版から引き続きアジャイルレトロスペクティブズ』を踏襲しつつ、わずかに変更したものを紹介していると理解しています。

  1. ノーム・カースの最優先条項
  2. ブレインストーミング
  3. ミュートマッピング & ドット投票
  4. 洞察を生み出す
    • 会話ベースでアイデアを探索する
    • 例:「なぜこの付箋の集まりをカイゼンが最も重要として選択したのか」
  5. ふりかえり目標

ふりかえりについてのその他のリソース

びばさん『ふりかえりガイドブック』

技術書典やQiitaなど精力的にふりかえりについて発信されているびばさんの本!
アジャイルレトロスペクティブズ』と並んでまず読む本となりそうな印象を受けています。

ノーム・カース『Project Retrospectives: A Handbook for Team Reviews』(英語)

イテレーションよりも長い期間を扱うレトロスペクティブ(特にプロジェクトレトロスペクティブ)について、『アジャイルレトロスペクティブズ』でこの本が案内されました。
2001年の本ですが、プロジェクトのレトロスペクティブについては決定版とも言えるような知見があるようで大変気になっています。

アジャイルふりかえりから価値を生み出す』

今回インプットする中で存在を知った一冊。

日本でいう「ふりかえり」というプラクティスで使えるアイディアを実践的にまとめた本です。このミニブックの日本語版がでました!

このエントリで紹介した複数の本には平鍋さんが関わっていらっしゃって、すごい方だなと改めて思いました。

ふりかえりについての気付き

気づいたこと2点をアウトプットします。

すぐ先に「次回がある」と考えられる!

『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』を読んで目からウロコだったのが「常に来週がある」という考え方。
イテレーションの期間を1週間とすると、1週間後に次のふりかえりがあるので

  • ふりかえり目標を考えるまとまりが投票で決まらなければ、コイン投げで決めてしまう
    • 来週もふりかえりをするんだ。重要な問題であれば、また出てくるだろう。(p.101)

  • 重要と認識している人が少数のために投票で選ばれなくても、重要であれば来週(やその後)のふりかえりで再度現れる
  • ふりかえりに時間がかかりすぎている場合も、来週があると考えて対処する

このようにふりかえりに関する様々なことに対処できます。
ふりかえりは1回限りでなく、イテレーションのたびに繰り返し行われるもので、「一度のふりかえりに肩肘張って無理に詰め込みすぎることもないんだな」と気付きました。

ふりかえりに関する情報源で満たした

ふりかえりに関しては、私の中で「どんな本を参照すればいいんだろう」という疑問は完全に引っ込みました。
むしろ、「こんなにたくさんの情報源、参照しきれないよ〜」という状態です。

今回はざっくりと考え方を追うのを優先しています。
具体のアクティビティに関しては、『アジャイルレトロスペクティブズ』や『ふりかえりガイドブック』で解像度を上げていくとよさそうに考えています。

終わりに

ふりかえりについての読書ログと、そこからの気付きのアウトプットでした。
みようみまねでやってきましたが、書籍(理論)を参照して、腑に落ちた点が多かったり、「わかっていなかったな」という伸びしろに気づいたり、経験値が学びに昇華された感覚です。

思うに、誰しもアジャイルの旅の途中にいる5
得た知見を元に、実践する日々!
XPの旅は続くのです。

P.S. ふりかえりをテーマに読み漁った背景

agile_devsのビデオ鑑賞会がきっかけです。
1/7(土)はRetrospectiveがテーマでした。

鑑賞会で教えていただいたのですが、今年もふりかえりカンファレンスが開催されるそうです!(4/8 🐸)


(『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』はオライリーさんでPDFが現実的かもしれません)


  1. 『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』2版によると、初版にはなかったそうです。https://www.jamesshore.com/v2/books/aoad2/improvement の注1です
  2. XPの価値とプラクティスをつなぐ(橋渡しする)のが原則という理解です
  3. 初版の英語版は公開されています。James Shore: The Art of Agile Development: Retrospectives
  4. 「この会では、プロジェクトの全員が置かれた状況下でベストを尽くした、ということを疑ってはならない」 プロジェクトの「ふりかえり」 -- Retrospectives by Norm Kerth:An Agile Way:オルタナティブ・ブログ (『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』ではより詳細な訳です)
  5. 恥ずかしいセリフ禁止